灰色の烏
上映スケジュール |
6月20日(土)〜7月3日(金) 6月20日(土)〜6月26日(金)▶15:00〜 |
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料金 |
一般:1500円 |
2013年/日本/カラー/88分
【監督】
清水艶
【キャスト】
西田エリ・中山龍也・小林歌穂・安保彩世・うらん
市川月奈・齋藤美咲・仁科貴・内田春菊
カラスは、ひとりで泣くんだよ
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INTRODUCTION
『ヴァージン・スーサイズ』『ピクニック at ハンギングロック』と並ぶ、出色のガールズムービー。
夏のキャンプでいわくつきの天狗の山に踏み入った、ガールキャンプクラブ(ウェンディクラブ)。下山途中で遭難した彼女たちは、一人の青年と出会う。「彼」の存在はいつのまにか、彼女たちの心のすき間に入り込み、やがて彼女たちの心に大きな変化をもたらしていく。母と娘の呪縛にも似た愛情、少女が同性の友人に寄せる思春期特有の愛情、年上の男性に対する憧れや、自分より大人の女性に対する嫉妬心など、彼女たちの揺れる心情を、天狗の山という限られた空間の中でサスペンスフルなタッチで描き出した本作は、ガールズムービーの傑作『ピクニックatハンギングロック』(75)、『1999年の夏休み』(88※少年役をすべて少女が演じている)、『櫻の園』(90)、『ヴァージン・スーサイズ』(99)、『少女たちの羅針盤』(10)と並ぶ、出色のガールズムービーである。
主演の西田エリ自身による絵本「灰色のからす」から、インスパイアされた物語。
本作は、シンガーソングライターであり、ヒロイン・望月珠恵役を演じる西田エリが、2010年に発表した曲で、有線を中心にヒットした「灰色のカラス」と、その歌詞を基に12年に自ら描き下ろした絵本「灰色のからす」からインスパイアされる形で生まれた。群れの中で、アイデンティティを守りながら生き抜くことの厳しさと気高さを謳った、その精神は、本作にも受け継がれている。珠恵は、周囲から向けられる冷ややかなまなざしや、心を病んだ母の呪縛から逃れ、自分らしく生きてみたいという衝動を押し殺して生きてきた。しかし、テレビから飛び込んできた、母殺しの若者のニュースが、心の奥底に眠っていた母への憎悪に火を点ける。家を飛び出した彼女は、ガールスカウトの少女たちと天狗の山に迷い込む。日常から解放されたその場所で、珠恵は、崩壊した「家族」の欠片を大切に抱える青年と出会い、自らの生き方を見つめ直していく。そして、珠恵と共に迷い込んだ少女たちもまた、自分らしい生き方の糸口を求めて、闇の中をさまよっていく。その闇を抜けた先にこそ、彼女たちの未来が待ち受けているのだ。男性恐怖症、PTSD、鬱、境界例、パニック障害‥‥、現代に溢れる様々な病理の中で、生き方を見失ってしまった多くの人たちに、この物語は、あらゆる束縛を越えて心を解放すること、自分らしく生きることの気高さを呼びかけている。
新進気鋭の若手女優陣と女性映像作家による、青春アメージング・サスペンス・ロマンの誕生。
本作が初主演となる望月珠恵役の西田エリは、自身の原案となる作品に並々ならぬ思い入れで臨み、母親との諍いから包丁を振りかざす迫真のシーンや、謎の青年・椿と心を通わすせつないシーンなど、少女と大人の狭間で揺れ動く心情を繊細に演じ、女優として大きく開花している。珠恵と反目しあう中学生の少女・沼口マナには、ももいろクローバーZの妹分的存在として、スターダストプロモーションより選抜されたアイドルグループ「私立恵比寿中学」のメンバー・小林歌穂が映画初出演。同級生の少女に友情以上の好意を寄せる、思春期特有の心の揺れ動きを瑞々しく演じる一方で、初々しくも官能的なシーンにも果敢に挑み、堂々たる銀幕デビューを飾った。マナが恋心を抱く同級生・安西シオリには、第1回JUNONプロデュースガールズコンテストBEST30で、『太陽の坐る場所』(14)などの映画やドラマで活躍する安保彩世。森で出会った謎の青年・椿には、ドラマ「35歳の高校生」(13/NTV)、園子温監督『地獄でなぜ悪い』(13)などで活躍する、中山龍也がイノセントな魅力で女性陣の中に彩りを添えている。その他、うらん、市川月奈、齋藤美咲という時代を担う少女たちにくわえ、仁科貴、内田春菊といった個性派俳優陣が脇を固める。監督には、09年に文化庁が支援する「若手映画作家育成プロジェクト」で『ホールイン・ワンダーランド』を監督した清水艶が、女性ならではの感性で少女たちの魅力を存分に引き出している。新進気鋭の若手女優陣と女性映像作家の手による、青春アメージング・サスペンス・ロマンが、ここに誕生した。
STORY
彼女たちが足を踏み入れた天狗の山— そこは、心に秘めた「罪」や「想い」を曝け出す異界の扉だった…。
望月珠恵(西田エリ)は、母親の千恵子(内田春菊)との二人暮らし。千恵子は夫に捨てられたことで心を病み、珠恵に依存して暮らしている。珠恵もまた、幼い頃に母の連れ込んだ男に迫られたことがトラウマとなり、男性不信になっている。勤め先の社長・沼口(仁科貴)からの見合い話にも興味が持てず、雑用程度の社員を置いておく余裕はないと嫌味を言われ、行き場のない思いを抱えていた。
ある夏の日、珠恵がリーダーを務めるガールキャンプクラブ(ウェンディクラブ)が、天狗の山に夏のキャンプに行くことになった。出発前の支度をしていた珠恵は、自分を捨てて逃げていくと勘違いした千恵子に罵倒され、手にした包丁を思わず振り上げてしまう。
一方、沼口の娘で中学生のマナ(小林歌穂)は、友人の安西シオリ(安保彩世)に誘われてキャンプに行くことになった。二人きりのキャンプと思っていたら、ウェンディクラブの野外活動だと知りがっかりする。リーダーの珠恵を中心に、小学6年生の宇川ミズキ(うらん)、10歳のもも(市川月奈)の5人でパーティーを組んで出発する。キャンプ地でキャンドルを囲んだ一行は、シオリの話す天狗の山の伝説に耳を傾ける――昔、この山には、鬼婆と間違えて母親を殺してしまった若者がいた。天狗となった若者は、今も母を想い泣き暮らしている。以来、天狗岩の前を通ると、心にすき間のある者は、天狗にさらわれてしまうという。下山中、天狗岩の前を通過した彼女たちは、立ち入り禁止区域に入って遭難してしまう。母のことで苛立ちを隠せない珠恵は、マナとの衝突をきっかけにメンバーとの関係にも亀裂が生じてしまう。
そこに一人の青年・椿(中山龍也)が現れた。はじめは恐怖心を抱いていた珠恵たちも、なにかと世話をしてくれる椿に次第に心を許していく。やがて、椿の存在は彼女たちの心のすき間に入り込み、それぞれが心に秘めていた罪悪感や特別な想いを曝け出していく。彼女たちは無事に下山できるのだろうか。物語は、それぞれの想いを孕み、意外な結末へとたどり着く―。
CAST
西田エリ(にしだ・えり) 望月珠恵 役
1984年1月4日、愛知県出身。2005年、デモテープがテレビ東京番組のテーマソングに決まり、ZAIN RECORDSよりCDデビュー。CM、雑誌、Vシネマ等のタレント活動を経て2010年に1stアルバム「Eri’s Collection」をリリース。同アルバム内に収録された自身の作詞による「灰色のカラス」が、その独特な歌詞の内容から有線で話題となる。12年、歌詞を基に自身が描き下ろした「灰色のからす」で絵本作家デビュー。この絵本を原案にした本作で映画初主演となる。
中山龍也(なかやま・たつや) 椿 役
1995年1月9日、神奈川県出身。2012年、WOWOWドラマW「マグマ」で俳優デビュー。その後AKB48北原里英主演『ジョーカーゲーム』に出演。同年のドラマ「高校入試」(12/CX)などで俳優としてのキャリアを重ねる一方、進研ゼミ高校講座TVCM「合格から逆算 立ち止まらない力篇」で注目される。主な出演作は、映画『地獄でなぜ悪い』(13)、『いっツー THE MOVIE』(14)、『いっツー THE MOVIE2』、ドラマ「35歳の高校生」(13/NTV)。
小林歌穂(こばやし・かほ) 沼口マナ 役
2000年6月12日、埼玉県出身。ももいろクローバZの妹分的存在としてスターダストプロモーションより選抜されたアイドルグループ私立恵比寿中学に2014年からメンバーに選出。以降、グループとして「エビ中★グローバル化計画」(14/MXTV)はじめ、数々のバラエティ、ラジオに出演。また、「甲殻不動戦記ロボサン」(14/TX)では、グループ全員でドラマ主演を果たし、演技にも初挑戦。女優として新たな魅力を開眼する。本作にて、スクリーンデビューを飾る。
安保彩世(あんぽ・さよ) 安西シオリ役
1998年5月31日、東京都出身。2012年、第1回JUNON ガールズコンテストBEST30を経て、本格的な芸能活動をスタート。以降、映画、ドラマ、「JUNON」をはじめとする雑誌など幅広い活動を続ける。主な出演作は、映画『太陽の坐る場所』(14)、ドラマ「碧の海〜LONG SAMMER」(14/THK)など。最新作に、映画『雨時々晴れ』(15)が待機している。
うらん 宇川ミズキ 役
1999年10月12日、東京都出身。2008年「エジソンの母」(TBS)でTV初出演にしてレギュラーを果たす。以降、パナソニックドラマスペシャル「あるがままの君でいて」(08/TBS)、「ハガネの女season2」(11/EX)などのドラマで活躍する一方、スターダストプロモーションのジュニアメンバーによるアイドルユニット「3Bjunior」のメンバーとしても活動する。主な出演映画は、『ひぐらしのなく頃に』(09)『だいじょうぶ3組』(13)『恐竜を掘ろう』(13)。
市川月奈(いちかわ・るな) もも 役
2003年9月19日、東京都出身。ギッズモデルとしてキャリアをスタートし、「ファミリーウォーカー」「ベビモ」などの家族向け赤ちゃん雑誌をはじめ、数々の雑誌、CM、バラエティなどで活躍。主な出演作に、ドラマ「歌のおにいさん」(09/EX)「三匹のおっさん」(14/TX)、映画『テルマエロマエ2』(14)『みなさん、さようなら』(12)『いぬのえいが バニラのかけら』(10)などがある。
齋藤美咲(さいとう・みさき)
2003年11月8日、静岡県出身。キッズモデルとして、小学館学年誌をはじめ、数多くの雑誌、CMで活躍する。一方、子役としてドラマにも出演。主な出演作には、「ダブルフェイス擬装警察篇」(12/WOWOW)、「警視庁捜査一課9係season7」(12)、「タクシードライバーの推理日誌34 飛騨高山~殺人スクープの女!!」(13/EX)などがある。
仁科 貴(にしな・たかし) 沼口 役
1970年8月21日、京都府出身。俳優の川谷拓三の長男として生まれ、幼い頃より撮影所の空気を吸いながら育つ。97年『ピエタ』で俳優デビュー。以降、映画を中心に活躍。北野武、深作健太、金子修介の監督作品に多く出演する一方、『血と骨』(04)、『劔岳 点の記』(09)、『真夏の方程式』(13)『春を背負って』(14)『るろうに剣心 伝説の最期編』(14)など、数々の話題作にも出演。また、NHK連続テレビ小説「オードリー」(00)出演以降、TVにも活動の場を広げる。最新作は、『予告犯』(15)『進撃の巨人』(15)。
内田春菊(うちだ・しゅんぎく)望月千恵子役
1959年8月7日、長崎県出身。漫画家デビュー以降、漫画家、小説家、エッセイイスト、女優など多彩な活動をみせている。主な出演作品に『テルマエ・ロマエ』(武内英樹監督/2012)、『闇金ウシジマくん』(山口雅俊監督/2012)、『ひみつのアッコちゃん』(川村泰祐監督/2012)、『5つ数えれば君の夢』(山戸結希監督/2014)、『幕が上がる』(本広克行監督/2015年2月公開)など。2013年には自身の監督・出演作『連結部分は電車が揺れる 妻の顔には戻れない』が公開された。
監督・脚本:清水艶(しみず・なお)
1983年生まれ。 大阪芸術大学・映像学科卒業。
卒業制作作品『シェアリング』(2006/監督・脚本・編集/16mm)が第7回JCF学生映画祭でグランプリを受賞。ハンブルグ日本映画祭などで招待上映される。その後、連続テレビドラマ『愛しのファミーユ』(2007/KBS/第3、9、12話)、同『ブロードキャストASUKA』(2008/KBS/第3、6、7話)の脚本・監督等を経て、2009年度にはVIPO(映像産業振興機構)による文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」に於いて『ホールイン・ワンダーランド』(監督・脚本・編集/35mm)を監督。