特集 歴史は我らのもの ~映画は闘いを記録する~
上映スケジュール |
2017年2月25日(土)〜3月3日(金) タイムテーブル、詳細は下記参照 |
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料金 |
【1回券】一般:1500円 |
【上映作品】
『チリの闘い』(チリ/パトリシオ・グスマン)
『マテリアル』(東ドイツ/トーマス・ハイゼ)
『パルチザン前史』(日本/土本典昭)
『日本解放戦線・三里塚の夏』(日本/小川紳介)
『鳳鳴--中国の記憶』(中国/ワン・ビン)
『アルジェの戦い』(アルジェリア・イタリア/ジッロ・ポンテコルヴォ)
『シリア・モナムール』(シリア・フランス/オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマブ・ベデルカーン)
学校では教えてくれない現代史の体温とアクション。
人が歴史の渦中で立ち上がることの威容。
人はなぜ闘うのか。
彼らはいかに闘ってきたか。
わたしはどう闘うか。
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【ラインナップ】
南米・チリ 民衆はいかに闘ったか
『チリの闘い』 ★京都初上映
第一部:ブルジョワジーの叛乱(96分)/第二部:クーデター(88分)/第三部:民衆の力(79分)
1975年/チリ・フランス・キューバ合作/263分(3作合計)/モノクロ/作品提供:IVC、ノーム/原題:La batalla de Chile
監督・脚本・製作:パトリシオ・グスマン
作品公式サイト▶ http://www.ivc-tokyo.co.jp/chile-tatakai/
『光のノスタルジア』『真珠のボタン』のパトリシオ・グスマン監督による三部構成のドキュメンタリー映画。東西冷戦期の1970年、チリでは選挙によって成立した世界初の社会主義政権が誕生し、サルバドール・アジェンデが大統領に就任した。「反帝国主義」「平和革命」を掲げて世界的な注目を集め、民衆の支持を得ていたが、その改革政策は国内の保守層、多国籍企業、そしてアメリカ合衆国政府との間に激しい軋轢を生み、チリの社会・経済は混乱に至る。1973年9月11日、陸軍のアウグスト・ピノチェト将軍ら軍部が米国CIAの支援を受け、軍事クーデターを起こす。アジェンデは自殺(諸説あり)。以後、チリはピノチェトを中心とした軍事独裁政権下に置かれた。パトリシオ・グスマンは、このチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を撮影・記録。クーデターの後、グスマンは逮捕・監禁されるも処刑の難を逃れ、フランスに亡命。撮影されたフィルムも奇跡的に国外に持ち出され、映画監督クリス・マルケルやキューバ映画芸術産業庁(ICAIC)の支援を得て「史上最高のドキュメンタリー映画」とも言われる破格の作品を完成させた。
東ドイツ 分断国家の内情
『マテリアル』 ★京都初上映
2009年/ドイツ/カラー/166分/作品提供:トーマス・ハイゼ/日本語字幕:渋谷哲也/原題:MATERIAL
監督・脚本:トーマス・ハイゼ/撮影:ペーター・バーデル セバスティアン・リヒター トーマス・ハイゼ ユッタ・トレンクル ボレス・ヴァイフェンバッハ
監督のトーマス・ハイゼが1980年代後半から2009年の現在にいたるまでの未公開の映像をつなぎ合わせ、東ドイツの内部から街、人々、運動、破壊を記憶し続けた壮大なドキュメンタリー。マルセイユ国際映画祭のコンペティションでグランプリを受賞した。
1955年東ベルリン生まれのトーマス・ハイゼは東ドイツでドキュメンタリー監督として活動した。彼の映画には独裁体制下の日常の生々しい体験が刻印されている。それは厳しい検閲に対する作り手の絶望的な闘いの記録でもある。そうして彼は東ドイツという独裁国家が瓦解し新たな統一ドイツに飲み込まれてゆく流動的な時期を個人的に撮影し続けた。もはや検閲にかかることもないリアルな東ドイツ社会の失われゆく表情を捉えた歴史的ドキュメントである。映画題名が示唆するようにこれは素材(マテリアル)だ。この映像を統制する背後の権力は存在しない。私たちはここに初めて東ドイツのリアルな姿と対面することになる。 渋谷哲也(ドイツ映画研究者)
日本(京都) 学生の闘争最前線
『パルチザン前史』 Pre-Partizan
1969年/日本/122分/モノクロ/作品提供:アテネ・フランセ文化センター/16mm
監督:土本典昭、堤雅雄 撮影:大津幸四郎、一之瀬正史 録音:久保田幸雄 編集:土本典昭、松本武顕
製作:市山隆次(関西小川プロダクション)、小林秀子(東京小川プロダクション)
1968年の京大全共闘運動、全共闘学生たちの大きな思想的支柱であり「日本のゲバラ」とも呼ばれた京大助手・滝田修(後に指名手配され逃亡・逮捕)の言動・生活・人間性を至近距離から捉えたドキュメンタリー映画史に残る傑作。警察の攻勢により後退を余儀なくされる京大、同志社大でのノンセクト集団「パルチザン」の運動(機動隊との闘争や軍事訓練など)、滝田の口から発せられる言葉の熱、衝撃的な火炎瓶描写(火炎瓶の作り方が詳細に解説される)。皮肉なほど平穏な京都市民の姿なども挿入され、世界の諸相を構築しながらも、60年代の学生運動を核心的に描き出す。本作は小川プロダクションの製作、監督は小川紳介の岩波映画製作所時代の先輩である土本典昭。彼は後に水俣病を主題にした優秀ドキュメンタリー作品を多数制作し、国内外で高い評価を得る。
【公開当時の土本典昭監督の言葉】
京大全共闘は、のぼりつめた東大、とくに日大の闘いのあとをうけつぎ、功罪ともに六十年代の歴史であった「新左翼」のあとを受けつがんとした地点からの闘いをはじめた。“真に闘うものが、革命期に際し、何を、何故、いかになすべきかを、眼のうろこをとってみつめる時期に来ている”と彼らは云う。それがどんなに苦しい作業であろうとも、実践し行動しようとする映画の中の人々。
私は「人間のつき合い」という滝田の言葉が好きだ。と同時に、これ程おそろしい重みをもって人と人が交しあう言葉はない。戦場で、正面から、勝つ日まで、彼らはこの一言をあらい続けるだろうことを私たちは信じて、この映画を論議の場に謹んで提出したい。
日本(成田) 農民の闘争最前線
『日本解放戦線・三里塚の夏』 Summer in Narita
1968年/日本/108分/モノクロ/作品提供:アテネ・フランセ文化センター/16mm(★デジタル上映)
演出:小川紳介 撮影:大津幸四郎、田村正毅 録音:久保田幸雄 採録:栗林豊彦 ナレーション:和田周 製作:小林秀子、伏屋博雄、市山隆次
1966年7月、政府は地元住民の合意を得ずに、新国際空港を千葉県成田市三里塚・芝山地区へ建設することを閣議決定した。小川紳介率いる小川プロは、1968年4月から7月にかけ、空港予定地に立ち入り調査を行う空港公団、それを護衛する機動隊、阻止しようとする農民・全学連の学生たちの闘争を「映画班」として農民側について記録。映画『三里塚』シリーズは撮影対象と共に生活し深い関係を築いて撮影する“小川プロ”スタイルが本格的に形成されつつ、7作品が連作された。この映画群では建設反対運動を起こす地元民・全学連の学生たちと空港公団・機動隊との激しい闘争、そして人間の姿が克明に記録されている。『日本解放戦線・三里塚の夏』は「三里塚」シリーズの記念碑的な第1作である。
農婦の言葉「闘いが人間の価値を変えていくんだよ!」
小川紳介の言葉「全部(のショットを)、農民の列中から、その視座から撮り、権力側を撮るにも、正面から、キャメラの存在をかけて、それとの対面で、すべてを撮った」。
中国 革命と粛清と個人史
『鳳鳴–中国の記憶』
2007年/フランス・香港合作/184分/カラー/作品提供:ムヴィオラ/原題:Chronicle of a Chinese Woman
監督・撮影:ワン・ビン
YIDFF作品紹介▶ http://www.yidff.jp/2007/cat011/07c014.html
ひとりの老女が雪道を歩きアパートへ向かう。赤い服を身にまといソファーに腰を掛けた彼女の名は、和鳳鳴(ホー・フォンミン)。地方の新聞記者として働いて結婚したが、同じく記者である夫の執筆した記事が原因で右派分子のレッテルを貼られ、ふたりは別々の強制収容所へ送られてしまうことに。1950年代以降の中国で起きた反右派闘争や文化大革命の粛正運動で数々の迫害を受け、1974年に名誉回復するまでの、約30年にわたるひとりの女性の壮大な物語が綴られていく。「恐ろしいほどに、シンプルで、巨大な映画である。」と評される傑作。監督は『鉄西区』『無言歌』のワン・ビン。2007年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。同年山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞受賞。
アルジェリア 植民支配からの独立
『アルジェの戦い』 ★オリジナル言語・デジタルリマスター版
1966年/イタリア・アルジェリア合作/121分/モノクロ/作品提供:コピアポアフィルム/原題:La Battaglia Di Algeri
監督:ジッロ・ポンテコルヴォ 脚本:ジッロ・ポンテコルボ、フランコ・ソリナス
作品公式サイト▶ http://algeri2016.com/
1954年から62年にかけてフランスの支配下にあったアルジェリアで起こった独立戦争を描き、66年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルヴォ監督が、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとに、ロベルト・ロッセリーニ『戦火のかなた』を範に、戦争の実体をドキュメンタリータッチで描く。アルジェリア市民8万人が撮影に協力し、主要キャストには実戦経験者を含む一般人も多数参加。戦車、武器類はアルジェリア軍より調達された。アルジェリアの首都アルジェのカスバでオールロケを敢行し、5年の歳月をかけて製作。音楽はエンニオ・モリコーネ。ベネチア映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を受賞した際、現地入りしていたフランス代表団が「反仏映画」として反発し、フランソワ・トリュフォーを除く全員が会場を退席したという逸話がある。
シリア 終わらない絶望のさなかで
『シリア・モナムール』
監督:オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマブ・ベデルカーン
2014年/シリア・フランス合作/96分/カラー/作品提供:テレザとサニー/原題:Ma’a al-Fidda
作品公式サイト▶ http://www.syria-movie.com/
現地の人々がとらえたシリア内戦初動時の生々しい映像の数々を用いて製作されたドキュメンタリー。シリアの人々によって携帯電話やハンディカメラなどで撮影され、YouTubeやFacebookなどに次々とアップロードされた映像を再構成した。アラブ諸国で始まった民主化運動が2011年春以降シリアにも飛び火。42年続くアサド独裁政権への不満と自由を求める市民による大規模なデモとそれを弾圧する政府軍の衝突は、やがて内戦へと発展した。パリに亡命し、祖国の惨状を映像でひたすら集めることしかできなかった男性監督のオサーマのもとに、包囲攻撃を受ける街で暮らすクルド人女性のシマブからメッセージが届く。シマブはパリにいるオサーマの耳や目となり、シリアの現実をカメラに記録していく。山形国際ドキュメンタリー映画祭2015インターナショナル・コンペティション部門優秀賞受賞。
【レクチャー】各日19:00〜 *参加無料。
2/25(土)北小路隆志(映画評論)>おもに『パルチザン前史』『日本解放戦線 三里塚の夏』、本特集全体
3/1(水)渋谷哲也(ドイツ映画研究・字幕翻訳)>おもに『マテリアル』解説
【スケジュール】
【INFOMATION】
★『チリの闘い』京都みなみ会館にて4月以降ロードショー!
★『チリの闘い』の名匠パトリシオ・グスマンによる傑作2部作『光のノスタルジア』『真珠のボタン』立誠シネマにて近日!(『チリの闘い』と同時期予定)