マイナードイツ映画発見の旅 ~映画が映す歴史と社会の諸相~

上映スケジュール

2017年4月29日(土)~5月5日(金)
計14回/各作品2回上映

タイムテーブルは下記参照。

料金

1プロ>当日一般:1200円/学生・シニア:1000円/立誠シネマ会員:800円
3回券:3000円

レクチャーは無料(本企画作品ご鑑賞の方対象。ご鑑賞半券ご提示ください)。

企画:渋谷哲也(東京国際大学)
主催:立誠シネマプロジェクト
協力:m-appeal world sales UG、WÜSTE Film GmbH、Filmgalerie 451、Renate Sami、Thomas Arslan、EastWest Filmdistribution GmbH、DEFA-Stiftung、ドイツ映画文化発掘フェスティバル実行委員会、アテネ・フランセ文化センター

【立誠シネマで観る/学ぶワールドシネマ:ドイツ篇vol.04】

ドイツ+映画、そこには革命と戦争の時代である20世紀のダイナミックな揺動が刻み付けられている。やがてグローバル化と民主的価値観の危機の時代である21世紀において、ドイツ映画はさらに鮮烈に社会のリアリティを浮き彫りにする。ファシズムとの対峙、移民難民との関わり、家族の在り方といったマクロな問題だけでなく、映画産業の衰退と自主的な映画製作の試みの多様性を見せてくれるのがドイツ映画の面白さだと思う。特集タイトルに関したマイナーという言葉は必ずしも否定的なものを意味しない。ルーティーン化されたメジャー作品ではないからこそユニークかつ鮮烈な想像力の飛翔と生々しい現実を体験することができる。今まで見たこともなかったような映画発見の旅にご招待したい。  (渋谷哲也)

◉レクチャー

4/29(土)、4/30(日)、5/1(月)各日14:00~
渋谷哲也(ドイツ映画研究者/東京国際大学教授)

・4/29(土)『嘘つきヤコブ』と東ドイツの映画文化
・4/30(日)ニュージャーマンシネマと現代の作家映画 ~『ジミー・オルフェウス』を中心に(★ゲストあり!)
・5/1(月)タブーを破る映画 ~『ハード・ラブ』とローザ・フォン・プラウンハイム

【上映後ミニ解説トーク追加!】
5/2(火)『休暇』『辛口ソースのハンス一丁』上映後に、渋谷先生の解説トークが決定しました!
それぞれ15分程度ですが、これはぜひご活用ください!

◉ラインナップ


★『帰ってきたヒトラー』監督の長編デビュー作

『女闘士』Kriegerin

2011年/103分
監督:ダーヴィット・ヴネント(デヴィッド・ヴェンド)
出演:アリーナ・レフシン、イェラ・ハーゼ、サイド・アフマド
旧東独地域の小都市、ナチスに心酔し難民を襲撃するネオナチの若者たちの日常が赤裸々に描かれる。主人公マリザは気まぐれでアフガン難民少年に大怪我させた罪の意識から、次第にネオナチの歪んだ認識に気づかされてゆく。ヴネント監督のポツダム映画大学卒業制作として完成された。

4/30(日)10:40~12:23
5/4(木)10:00~11:43


★トルコ移民二世の結婚をめぐるコメディ

『辛口ソースのハンス一丁』Einmal Hans mit scharfer Soße

2013年/96分
監督:ブケット・アラクシュ
出演:イディル・ウネール、アドナン・マラル、シーア・エログリュ
ヒロインはトルコ系移民2世、未婚の妹の妊娠に因習的な両親が気づく前にやはり未婚の姉ハティジェが先に結婚せねばならない。だが彼女は恋人と別れたばかり、てんやわんやの婿探し騒動が幕を開ける。東京国際映画祭やあいち国際女性映画祭にも出品したブケット・アラクシュ監督による痛快なコメディ映画。

4/29(土) 10:00~11:36
5/2(火) 12:10~13:46


★ヌーヴェルヴァーグとプログラムピクチャーの継承者

『ジミー・オルフェウス』JIMMY ORPHEUS

1966年/52分
脚本・監督・編集・音楽:ローランド・クリック
撮影:ロベルト・ヴァン・アケレン
1966年、戦後西ドイツの若き映画作家たちは『昨日からの別れ』(クルーゲ)『若きテルレス』(シュレンドルフ)など次々と斬新な映画を発表していた。ローランド・クリック最初の中編映画『ジミー・オルフェウス』は日雇い港湾労働者クリストフ(通称ジミー)の一夜の物語だ。ある晩酔っぱらって宿泊所に戻れなくなった彼は、酒場を転々とするうちに一人の女性と出会い、夜のハンブルクの街の冒険を始める。

4/30(日)12:50~13:42
5/3(水) 12:30~13:22


★性的タブーへのあくなき挑戦者ローザの最新作

『ハード・ラブ』HÄRTE

2015年/89分
監督:ローザ・フォン・プラウンハイム
撮影:ニコライ・ツォルン エルフィ・ミケシュ
出演:アンドレアス・マルクヴァルト マリオン・エルドマン ハンノ・コフラー
空手のエキスパートであるアンディは幼少期に家族から性的虐待を受けていた。家を出て売春斡旋業で大金を稼ぐようになると、マリオンという少女と出会う。アンディは彼女の自分への気持ちを利用して働かせるが、彼女もまた幼少期に性的虐待を受けていた。暴行事件を起こし服役となったアンディは、やがてマリオンとふたりで生きて行くことを誓い、空手道場を開いて問題を抱える子供たちのための活動を始める。

5/1(月)12:15~13:44
5/5(金)10:00~11:29


★現代ドイツ映画の旗手・トーマス・アルスランが描く家族の肖像

『休暇』Ferien

2007年/91分
監督:トーマス・アルスラン
撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェック
出演:アンゲラ・ヴィンクラー カロリーネ・アイヒホルン ウーヴェ・ボーム
ベルリンの郊外ウッカーマルクの森に囲まれた閑静な家で、アンナは夫と息子と暮らしている。ある夏の日、アンナの家に前夫との娘、ラウラとその家族、次女ゾフィ、そして母親らが集い、バラバラだった家族の関係が見つめ直される。アンナを演じるのは、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的女優アンゲラ・ヴィンクラー。

5/2(火)10:20~11:51
5/5(金)11:55~13:26


★作家と都市を巡る映画の旅ーレナーテ・ザミ作品2本立て

『チェザレ・パヴェーゼ、トリノーサント・ステファノ・ベルボ』+『ブロードウェイ 95年5月』

『チェザレ・パヴェーゼ トリノ―サント・ステファノ・ベルボ』
Cesare Pavese. Turin – Santo Stefano Belbo

1985年/64分
監督:レナーテ・ザミ、ペトラ・セーガー
チェザレ・パヴェーゼは、1908年にトリノとジェノヴァの間に位置する山間部のサント・ステファノ・ベルボで生まれた。彼はトリノで生活し作家活動を行なったが、1950年に42歳で自ら命を絶った。彼の最後の二つの小説、『孤独な女たちと』にはトリノが、『月とかがり火』にはサント・ステファノ・ベルボが深く結びついている。映画は、パヴェーゼの始まりと終焉の場所と二つの小説を辿る旅である。パヴェーゼのかつての友人たちも登場し、この同郷人作家の思い出を語る。

『ブロードウェイ 95年5月』Broadway Mai 95

1996年/30分
監督:レナーテ・ザミ
ザミは1967年初めてニューヨークを訪れて以来、この街に魅了された。そして街の中心であるブロードウェイを撮影した。南端のバッテリー・パークから北端のマンハッタンへと通じるブロードウェイ橋までの間の34の地下鉄駅を順々に捉えてゆく。「ボブ・ディラン、ヒッピー、リロイ・ジョーンズ、黒人の暴動、多様さ、カオス、騒音、直線、大きなものと小さなもの、美しいものと醜いものが並んでいる。汚くて、上品で、色鮮やかで、魅力的で、私の望む全てがあった」とザミは街の印象を回顧する。

5/1(月)10:20~11:54
5/4(木)12:10~13:44


★東ドイツ映画唯一の米アカデミー賞ノミネート作

『嘘つきヤコブ』Jakob der Lügner


© DEFA-Stiftung, Herbert Kroiss

1974年/東ドイツ/100分/日本語字幕:上田浩二、吉川美奈子
監督:フランク・バイヤー 原作:ユーレク・ベッカー
出演:ブラスティミール・ブロドスキー、エルヴィン・ゲショネック
第二次大戦中ポーランドのユダヤ人居住区(ゲットー)が舞台。ナチ占領下で自由を奪われたユダヤ人たちの希望をつなぐためにヤコブはありもしないラジオのニュースを日々仲間たちに伝え続ける。だが根拠のない朗報に喜ぶ彼らを見てヤコブの苦悩は次第に増してゆく。もし彼らに真実を伝えたとしたら…?東ドイツ国営映画会社であるDEFA製作の本作は米アカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど全世界で賞賛を浴びた。

4/29(土・祝)12:05~13:45
5/3(水)10:20~12:00



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