ある精肉店のはなし
上映スケジュール |
6月21日(土)~6月27日(金)
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料金 |
【当日】一般:1700円/学生・シニア:1400円/ |
2013年/日本/108分
監督:纐纈あや / プロデューサー:本橋成一 / 撮影:大久保千津 / 録音:増田岳彦 / 編集:鵜飼邦彦 / サウンドデザイン・整音:江夏正晃(marimo RECORDS) / 音楽:佐久間順平
いのちは食べて いのちは生きる
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牛の飼育から屠畜解体まで、 いのちが輝いている、 前代未聞の優しいドキュメンタリー。
−−−鎌田慧(ルポライター)
★6/26(木)『ある精肉店のはなし』上映後、纐纈あや監督来場、舞台挨拶!
大阪貝塚市での屠畜見学会。牛のいのちと全身全霊で向き合うある精肉店との出会いから、この映画は始まった。家族4人の息の合った手わざで牛が捌かれていく。牛と人の体温が混ざり合う屠場は、熱気に満ちていた。店に持ち帰られた枝肉は、丁寧に切り分けられ、店頭に並ぶ。皮は丹念になめされ、立派なだんじり太鼓へと姿を変えていく。
家では、家族4世代が食卓に集い、いつもにぎやかだ。家業を継ぎ7代目となる兄弟の心にあるのは被差別部落ゆえのいわれなき差別を受けてきた父の姿。差別のない社会にしたいと、地域の仲間とともに部落解放運動に参加するなかでいつしか自分たちの意識も変化し、地域や家族も変わっていった。 2012年3月。代々使用してきた屠畜場が、102年の歴史に幕を下ろした。最後の屠畜を終え、北出精肉店も新たな日々を重ねていく。いのちを食べて人は生きる。「生」の本質を見続けてきた家族の記録。
【映画に寄せられた言葉】
今年の1月僕のフォークシンボル、ピート・シーガ‐さんが94歳で逝きました。“大統領が誤ったとき草の根の人々が正しい道にもどす。それがアメリカの正義だ。フォークシンガーは草の根の知性を持ちなさい。”映画を見ながら“草の根の知性(インテリジェンス)”なんて自分のフォークのテーマを想い出していました。ボブ・デュランの若い頃の語り歌を聞くような良質の作品(ストーリーテーリング)に出会えたと喜んでいます。――――高石ともや(フォークシンガー) この映画は被差別部落の人々とその生業を正面から扱っているわけだが、不思議なほどに透明で、この種の映画に特有の社会的なメッセージ性がほとんどない。それはたぶん監督が、獣を育てて、殺して、食べるという散文的な作業を淡々と続けている北出精肉店の人々のはるか背後に、数千年という射程をもち、世界のあらゆる集団に拡がる「人類の営み」を感知したからではないか。
――――内田樹(思想家、武道家)
昔ながらの手作業の屠畜は、我々食肉業界の者たちにとっても貴重な、後世に残さなくてはならない映像です。
――――高岡博也(浅草今半 取締役)
このお肉を食べたい。できれば、主人公一家の食卓にまぎれこみ、一緒に頬張りたい。この映画は僕にあらためて、ひとがひととして生きていくための食することの幸福、そして、その喜びを与えてくれる厳しくも神々しい命のリレーの尊さを教えてくれた。北出さん一家に寄り添うカメラの距離と存在が良い。そして、なんの衒いもなく淡々と日々を重ねるこの家族こそが、わたしたちの原像たりえる、と確信した。
――――崔洋一(映画監督)
映画は冒頭ショッキングなシーンからはじまる。牛の屠畜がこのようにして開始されることを知らなかった人は多いはずだ。ここから目を背けてはいけない。纐纈あや監督は、そう考えてこの映画を作ったに違いない。北出家の人々が、私たちに成り代わってこの作業を行ってくれているからこそ、私たちは、おいしいステーキやすき焼きやビフカツやハンバーグを食べることができる。生きて行くために私たちは必ず他の生命を殺(あや)め、そこに宿っていたエネルギーを横取りしなければならない。私は生きることは動的平衡である、と捉えている。絶え間のない交換と鼓動と流れ。それが生命である。ある命は別の命の中に散らばって広がっていく。私の短い命はその動きのなかのあやういバランスにすぎない。しかしそれはすべての命とつながっている。この映画の中にはまぎれもなく動的平衡がある。
――――福岡伸一(生物学者)
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